ひとり暮らしの限界はいつ?施設を考えるべきサインと判断基準

生活

「まだ大丈夫。」

そう言い続けていたのは、母ではなく、私のほうでした。

母は75歳。父が亡くなってから10年以上、ひとり暮らしを続けています。料理も掃除もできるし、足腰もそこまで悪くない。だから私はどこかで、「施設なんてまだ先の話」と思っていました。

でもある日、夜の10時を過ぎても電話に出なかったことがありました。胸がざわついて、嫌な想像ばかりが浮かびました。結局、ただ寝ていただけだったのですが、そのとき初めて「もしものとき」を真剣に考えました。

ひとり暮らしの限界は、突然やってくるものではありません。少しずつ、サインが出ていることが多いです。

まず感じたのは、生活の小さな変化でした。

1.冷蔵庫に同じ食材がいくつも入っている。
2.ゴミ出しの日を間違える。
3.通帳の記帳を何ヶ月もしていない。

どれも一つひとつは大きな問題ではありません。でも、積み重なると不安になります。

特に気になったのは、転倒です。母は一度、家の中でつまずいて転びました。幸い骨折はありませんでしたが、そのとき言った言葉が忘れられません。

「もしこれが夜だったら、誰にも気づいてもらえないね。」

判断基準

ひとり暮らしを続けられるかどうかの判断基準は、私は大きく三つあると感じました。

一つ目は、安全面
転倒、火の不始末、詐欺被害などのリスクが高くなっていないか。実際、近所の方は訪問販売に何十万円も払ってしまいました。判断力が少し落ちるだけで、被害に遭いやすくなります。

二つ目は、生活の維持ができているか
食事はきちんと摂れているか。洗濯や掃除はできているか。薬は正しく飲めているか。母の場合、血圧の薬を飲み忘れることが増えていました。これは見逃せないサインでした。

三つ目は、孤独感です。
意外かもしれませんが、身体よりも心の問題のほうが深刻なことがあります。外出が減り、人と話す機会が減ると、急に元気がなくなります。母も「誰とも話さない日がある」とぽつりとこぼしたことがありました。

では、施設を考えるタイミングはいつなのか。

私は、「もう無理」となってからでは遅いと感じました。

実際に施設をいくつか見学に行きました。最初は母も「まだ自分の家にいたい」と強く反対しました。正直、私も葛藤しました。費用も気になります。有料老人ホームなら月15万円〜20万円はかかります。年金だけでは足りません。

それでも見学をしたことで、選択肢を知ることができました。すぐに入居しなくてもいい。でも、情報を持っているだけで安心感が違いました。

結局、母は今も自宅で暮らしています。ただし、見守りサービスを契約し、週に2回ヘルパーさんに来てもらうことにしました。完全な施設入居ではありませんが、ひとつの中間地点だと思っています。

ひとり暮らしの限界は、年齢では決まりません。80歳でも元気な方はいますし、70歳前半でも支援が必要な方もいます。

大切なのは、「本人の意地」や「家族の希望」だけで判断しないこと。

冷静に、

安全は保たれているか、生活は回っているか、心は元気か

この三つを見つめ直すことだと思います。

そして何より、話し合うこと。

私は母と何度もぶつかりました。でも、今は「いざとなったら施設もありだよね」と、少しずつ共通認識ができています。

限界は、我慢の先にあるものではなく、無理をし続けることが限界を早めます。

もし少しでも不安を感じているなら、一度、地域包括支援センターに相談してみるのもひとつの方法です。情報を知るだけでも、心の重さは軽くなります。

「まだ大丈夫」と思っている今こそ、考えるタイミングかもしれません。

後悔しないために、本人の尊厳を守るために。

ひとり暮らしを続けるかどうかは、白か黒かではありません。段階的な選択肢もあります。


施設に入るという選択肢から目を背けないことが、私が学んだ一番大きなことです。

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